“もっと美味しく、もっと手軽に”を考えたティーポット「BRIM」。
今回はプロダクトのデザインという観点にフォーカス。
デザイナー山本まさと氏に、BRIMについて、またご自身のプロフィールについて、お話を伺いました。


BRIM―デザインについて

デザインするにあたってまず考えたことは、茶葉のこと。
紅茶にしろハーブティーにしろ緑茶であっても、淹れ方は違っても茶葉の最後の晴れ舞台で、それぞれの葉がノビノビと広がれるスペースを十分にとってあげることが大切だと考えました。

一般的な急須のように、注ぎ口の根元に茶漉しを付ければポットの容積すべてが茶葉のために使えるのですが、そうすると今度は洗いづらいという問題が出てきます。茶漉しが外せて、なおかつ茶葉に充分なスペースを、と考えると自ずと開口部が広くて、茶漉しはできるだけポットの本体いっぱいのサイズで、となりました。

十分に広がった葉から抽出されたお茶は、ポットの底の方から広がることが多いので、注ぎ口はポット本体の縁にちょこんと付いているものよりは、できるだけ下の方からお茶を導き出すカタチが理想的。そうすると注ぎ始めた時にポット内で対流が起こり、濃さの偏らないお茶をそれぞれのカップへ注げます。

普段使いを考えれば、茶渋がついてすぐに変色してしまうので茶漉しの素材はやっぱりステンレス製が一番。
金属や磁器がぶつかり合うのは心地良くないので、そしてまた金属より熱を伝えづらいプラスチックを茶漉しの縁に使用しました。もちろん色はあまり茶渋が目立たない「茶」色です。

そうやって茶葉のために必要な条件を組み立てて行って、最後に本体の形と、蓋の開け閉めに個性を持たせて出来上がったのがBrimです。
裏漏れもしないし、使いやすいと思います。



山本まさと 
studio in the air / 空 中 工 房


1955年 東京生まれ

ヨーロッパで暮らすようになって来年の春で20年になります。
現在はフリーランスのデザイナーとして活動していますが、13年ほどスイスの家庭用品の会社でインハウスデザイナーをしていました。

プロダクトデザインの世界はグラフィックに比べてコンピューター化が15年くらいは遅れてやってきました。3次元のCADはそれまで2次元の図面だけでは表現の仕切れなかった部分を明瞭にしてくれました。とは言えもちろん、コンピュータが勝手にデザインしてくれるワケもなく、絵を描く基本の鉛筆の延長線上にある道具です。
単なる道具ではありますが、鉛筆と筆の表現力の違いが少しだけデザインの結果に出るように、CADが得意な表現というものはあるように思います。

Brim は一見シンプルなカタチですが、ポットの本体の中心線が気持ちだけ傾いていて、見た目ほど単純な形状ではありません。その傾きが注ぎ口をしっくりと収め、取っ手は握るスペースを十分に与えています。

使い始めて12-3年になると思いますが、CADはモノを細部まで見るための道具だとつくづく思います。